リース問題は、現在価値計算から始めると条件を読み落としやすくなります。最初に契約が特定資産の使用を支配する権利を移しているかを判定し、次にリース期間とリース料を確定し、最後に分類と事後測定へ進みます。この順番を固定すると、埋込リース、更新オプション、変動リース料、短期リース、セール・アンド・リースバックを同じ判断軸で処理できます。
- identified asset、economic benefits、right to direct useの3段階でリースを識別する
- リース期間は合理的に確実な延長・解約オプションを含めて判断する
- 固定支払、一定の指数・レート連動額、残価保証などを測定対象ごとに整理する
- 借手のファイナンスとオペレーティングは貸借対照表だけでなく費用認識パターンで区別する
- セール・アンド・リースバックでは、先に資産移転が売却に該当するか判定する
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1|契約がリースを含むかを最初に判定する
Topic 842の出発点は、契約が対価と引き換えに一定期間、特定された有形資産の使用を支配する権利を移転しているかです。資産が契約に明示されていても、供給者が実質的な入替権を持つ場合はidentified assetとならないことがあります。
顧客は、使用から生じる経済的便益のほぼすべてを得る権利と、資産をどのように・どの目的で使用するかを指図する権利の両方を持つ必要があります。単に産出物を購入する契約と、資産の使用を支配する契約を区別します。
- 資産は明示または黙示に特定されているか
- 供給者に実質的な入替権がないか
- 顧客が使用による経済的便益のほぼすべてを得るか
- 顧客が使用方法と使用目的を指図できるか
2|リース期間はオプションの確実性まで含める
リース期間には解約不能期間を含め、借手が行使することが合理的に確実な延長オプション期間や、行使しないことが合理的に確実な解約オプションの対象期間を加えます。単に更新オプションがあるだけで自動的に期間へ含めるわけではありません。
重要な設備投資、代替資産の不足、有利な契約条件、移転コストなど、借手に経済的インセンティブを与える事実を総合します。設問では、オプション行使価格だけでなく、契約終了時に失う便益も確認します。
3|当初測定は「負債を先に、資産を後に」組み立てる
リース負債は、開始日時点で未払いのリース料を割り引いた現在価値が基本です。契約上容易に算定できる場合はリースの計算利子率を用い、それが難しい場合は借手の追加借入利子率を用います。
使用権資産はリース負債を出発点に、開始日前後の支払、受け取ったリース・インセンティブ、初期直接費用などを調整します。負債と資産が常に同額になると決めつけず、調整項目を別に確認します。
- 固定支払と実質固定支払
- 開始日時点の指数・レートを用いる一定の変動支払
- 行使が合理的に確実な購入オプション価格
- 適用される残価保証や解約ペナルティ
4|ファイナンス・リースは実質的な取得かを確認する
借手は、所有権移転、合理的に確実な購入オプション、主要部分を占めるリース期間、原資産の公正価値のほぼすべてに相当する現在価値、借手以外に代替用途が見込めない特殊資産などを検討します。
これらのいずれかに該当して実質的に原資産の取得へ近い場合はファイナンス・リース、それ以外はオペレーティング・リースです。数値の機械的な境界だけでなく、契約全体の経済的実質を判断します。
5|事後測定は費用認識パターンで見分ける
ファイナンス・リースでは、リース負債に対する利息費用と使用権資産の償却費を別々に認識します。負債残高が大きい初期ほど利息が大きいため、合計費用は一般に前倒しのパターンとなります。
オペレーティング・リースでは通常、単一のリース費用をリース期間にわたり定額で認識します。負債について利息相当額を計算しながら、使用権資産の減額を調整して単一費用の定額パターンを作ります。
- ファイナンス:利息費用と償却費を別々に表示
- オペレーティング:通常は単一の定額リース費用
- いずれも原則として使用権資産とリース負債を貸借対照表へ認識
6|短期リースと契約構成部分を見落とさない
短期リースの要件を満たし、資産クラスごとの会計方針を選択した場合、借手は使用権資産とリース負債を認識せず、通常、リース料を期間にわたり費用認識できます。購入オプションがあり、その行使が合理的に確実な契約は短期リースに該当しません。
保守サービスを含む契約では、リース構成部分と非リース構成部分を識別し、原則として独立価格に基づいて対価を配分します。借手が資産クラスごとに両者を分離しない実務上の便法を選ぶ場合もあるため、設問の会計方針を確認します。
7|セール・アンド・リースバックは売却判定を先に行う
売手兼借手が資産を移転し、その資産を借り戻す取引では、まずTopic 606の支配移転の考え方により移転が売却に該当するかを判断します。売却に該当する場合は資産の認識を中止し、売却とリースをそれぞれ処理します。
売却に該当しない場合、売手兼借手は資産を認識し続け、受け取った現金を金融負債として処理します。形式上の売買契約だけで売却益を認識しないようにします。
8|リースMCQの解答手順
計算問題でも、次の順序で事実を整理してから電卓を使います。現在価値の選択肢が近いときは、含める支払と割引率、支払時点が期首か期末かを再確認します。
- ① identified assetと顧客の支配を確認する
- ② リース期間とオプションを確定する
- ③ リース料へ含める項目を抽出する
- ④ 割引率と支払タイミングを確認する
- ⑤ 借手の分類または貸手の分類を判定する
- ⑥ 当初仕訳と事後費用パターンを分けて計算する
公式情報・参考資料
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