BARの難しさは、個別の基準を知っているだけでは足りず、取引の事実・認識時期・表示・分析指標を一つの判断にまとめる点にあります。本稿では、企業会計と政府会計を混ぜずに、設問を読み始める順序を再現できるように整理します。
- 契約変更・後発事象・税効果は、まず事実がいつ存在したかを固定する
- GASB 103はMD&Aの5テーマと予算比較RSIを型として覚える
- GASB 104の売却目的開示と利得認識を切り分ける
- GASB 87は借手・貸手を先に特定し、認識パターンを選ぶ
- EPSと営業レバレッジは公式よりも分子・分母の意味を説明する
読んだ知識を、次の学習へ。
会員情報を確認しています。
1|設問の最初の30秒で事実と基準を固定する
BARの応用問題は、基準名を当てるゲームではありません。契約当事者、報告日、対象財務諸表、取引の認識段階を先に書き出します。例えば「変更が承認された日」「貸借対照表日に存在した状況」「政府全体か基金か」が分かると、同じ数字でも選ぶ処理が変わります。
次に、認識・測定・表示・開示のどの段階を問われているかを確認します。『いつ認識するか』と『どの注記に載せるか』を混同しないことが、選択肢を二つまで絞る近道です。
- 当事者・対象期間・対象財務諸表を一行で要約する
- 認識/測定/表示/開示のどれかに丸を付ける
- 年度依存の数値は問題文または公式資料の年度を確認する
2|ASC 606の契約変更は「独立性」と価格を同時に確認する
追加された財・サービスが既存の約束と独立し、追加対価がその財・サービスの独立販売価格を反映する場合、変更は別個の契約として処理するのが基本です。独立性だけ、または価格だけを見て結論を出さないようにします。
条件を満たさない変更では、残りの財・サービスとの関係や、変更時点の履行状況に応じて将来に向かって処理するか、累積キャッチアップを行うかを検討します。試験では『distinct』『stand-alone selling price』の二つを拾う練習が有効です。
3|後発事象と税効果は「期末に何が分かっていたか」を軸にする
財務諸表発行前の顧客破産が、期末時点ですでに存在した信用悪化の追加証拠なら、期末の売掛金や損失見積りを修正します。逆に、期末後に初めて発生した新しい状況なら、重要性に応じた開示を検討するだけです。発生日だけで機械的に非認識としないことがポイントです。
繰延税金資産は、将来実現しない部分が『more likely than not』であるかを評価します。実現が見込めない差額が評価性引当金であり、繰延税金負債や資産全額の消去と取り違えません。数値は税率や年度の論点ではなく、実現可能性の判断手順を確認します。
- 後発事象:期末の状態を裏付ける追加証拠か、新しい状態か
- 税効果:認識したDTA、実現見込み、評価性引当金の差額
- 選択肢の『すべて』『常に』『自動的に』は事実と合うかを疑う
4|GASB 103はMD&Aと予算比較RSIの型を作る
GASB Statement 103では、MD&Aを財務諸表の概要、財務サマリー、詳細分析、重要な資本資産・長期財務活動、現在知られている事実・意思決定・状況という5つの関連テーマで構成します。単なる財務諸表の再掲や、すべての仕訳の一覧ではありません。
予算比較情報では、当初予算から最終予算、最終予算から実績への差異を比較し、重要な差異の説明をRSIの注記で補います。問題を見たら、どの比較を欠いている選択肢か、重要差異の説明があるかを確認します。
5|GASB 104・87は「開示」と「当事者」を先に切り分ける
GASB 104では、政府が資本資産の売却を進める決定をし、財務諸表日から1年以内に売却を完了する可能性が高いとき、売却目的資本資産として主要区分別の取得原価・減価償却累計額などを別途開示します。売却を決めただけで予想売却価格の利得を先に認識する処理ではありません。
GASB 87は借手と貸手で見える科目が異なります。適格な長期リースの借手は使用権リース資産とリース負債、貸手はリース債権と繰延流入を中心に考えます。『どちらの立場か』を設問の余白に書いてから計算すると、認識パターンの取り違えが減ります。
- 売却目的の判定:決定+1年以内に完了する可能性
- 注記と利得認識を別の判断として扱う
- リースは借手/貸手、短期例外、財務諸表の測定焦点を確認する
6|EPSと営業レバレッジは分子・分母の意味で復習する
イン・ザ・マネーのオプションは、自己株式方式で行使対価を平均市場価格の買戻しに充てると仮定し、純増分株式だけを希薄化後EPSの分母に追加します。オプション株式総数をそのまま加えたり、基本EPSへ入れたりしないようにします。
営業レバレッジ度は貢献利益を営業利益で割った値です。貢献利益300,000ドル、営業利益100,000ドルなら3.00で、関連範囲内では売上変化率の約3倍の営業利益変化を示します。比率は予測の保証ではなく、固定費構造に基づく感応度です。
7|演習後は「基準・事実・反証」を1行で残す
誤答復習では、正解の根拠だけでなく、最も迷った誤答がなぜ成立しないかを書きます。『ASC 855/期末条件の追加証拠/期末修正』のように、基準・決定的事実・結論を一行にすると、似た問題でも再利用できます。
このページで整理した流れを、BARの問題演習で試してください。基準の最新版は必ずFASB・GASB・AICPAの公式情報へ戻り、教材の更新日と受験年度を確認します。
公式情報・参考資料
制度や出題範囲は変更される場合があります。最終確認には以下の公式情報をご利用ください。
- FASB ASC Topic 606|Revenue from Contracts with Customers↗
- FASB ASC Topic 855|Subsequent Events↗
- FASB ASC Topic 740|Income Taxes↗
- FASB ASC Topic 260|Earnings Per Share↗
- GASB Statement No. 103|Financial Reporting Model Improvements↗
- GASB Statement No. 104|Disclosure of Certain Capital Assets↗
- GASB Statement No. 87|Leases↗
- AICPA & CIMA|Learn what is tested on the CPA Exam↗
この記事を、解ける知識に変える。
同じ論点を短く復習し、問題で使い、Cheat Sheetへ戻る学習パスです。