受託活動の問題は、資産を預かっているという事実だけでは解けません。政府が資産を支配しているか、誰の利益のために保有しているか、政府自身のプログラムを支える資源ではないかを順番に確認すると、fiduciary activityとgovernmental activityを一貫して判定できます。

この記事の要点
  • まず政府による資産の支配を確認し、その後に受益者と利用目的を判定する
  • pension trust・investment trust・private-purpose trust・custodialの4種類を区別する
  • fiduciary activitiesはgovernment-wide financial statementsから除外される
  • fiduciary fundの負債は、支払を強制する事象が発生し、受益者側の追加行為・承認・条件が不要かで判断する
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1|「預かり資産」ではなく判定順序から始める

GASB Statement 84では、まず政府が資産を支配しているかを確認します。支配とは、政府が資産を特定の受益者のために使用するよう指図できる状態を含みます。単に現金が政府名義の口座へ入ったことだけで結論を出しません。

支配がある場合も、資産の由来、受益者、政府の行政・サービス提供との関係を調べます。問題文の「held for others」だけを拾うのではなく、政府自身のプログラムを支える資源か、外部の個人・組織の利益のための資源かを確認します。

2|受益者が誰かを具体的に特定する

年金・退職後給付の受給者、政府間投資プールの参加政府、奨学金などの外部受益者、徴収税を受け取る他の政府など、資源の最終的な利益を受ける者を特定します。

受益者が政府自身であったり、資源が政府の行政上の裁量でサービス提供へ使われたりする場合は、単に第三者が関係するだけでfiduciary activityとは限りません。外部受益者が政府の一部として扱われないことも確認します。

3|四つのFiduciary fundを目的で分ける

GASBのfiduciary fundには、pension and other employee benefit trust funds、investment trust funds、private-purpose trust funds、custodial fundsがあります。名称の暗記より、資源の目的と信託性を判定してください。

適格な年金・退職後給付の仕組みはpension and other employee benefit trust fund、外部参加者の持分を報告する投資プールはinvestment trust fund、その他の信託で外部受益者のために管理する場合はprivate-purpose trust fundが候補になります。残る受託活動はcustodial fundで報告され得ます。

  • Pension and other employee benefit trust fund:年金・退職後給付など
  • Investment trust fund:外部参加者の投資プール持分
  • Private-purpose trust fund:その他の外部受益者向け信託
  • Custodial fund:上記の信託基金に該当しない受託活動

4|Custodial fundは旧agency fundの言い換えではない

Statement 84はagency fundという分類を廃止し、該当する受託活動をcustodial fundとして整理しました。custodial fundでは、単なる資産と負債だけでなく、statement of fiduciary net positionとstatement of changes in fiduciary net positionを通じて増減も報告します。

典型例は他政府のための徴税ですが、すべての徴収代行が自動的にcustodial fundになるわけではありません。政府が資産を支配しているか、資源を自らのプログラムへ使えるか、受益者が誰かを事実関係から判定します。

5|負債認識は「支払を強制する事象」で決める

fiduciary fundの負債は、事象が起きた結果、政府がfiduciary resourcesを受益者へ支払うことを強制される場合に認識します。現金を受け取っただけで、常に同額の負債を直ちに計上するとは限りません。

ただしcustodial fundが受け取った資源を同額のまま直ちに債権者へ送金する場合、支払義務は通常、資源を受け取った時点で認識します。選択肢では、受取、適格性確認、配分決定、送金のどの時点が義務を発生させるかを確認します。

6|測定と表示はaccrual・economic resourcesで考える

fiduciary fundsはeconomic resources measurement focusとaccrual basis of accountingを使用します。governmental fundsのcurrent financial resources・modified accrualと混同しないでください。

fiduciary activitiesは、政府が資源を自らのプログラムへ使用できないため、government-wide statementsのgovernmental activitiesやbusiness-type activitiesには含めません。別建てのfiduciary fund financial statementsで報告します。

  • Measurement focus:economic resources
  • Basis of accounting:accrual
  • Fund statements:fiduciary net positionとそのchanges
  • Government-wide statements:fiduciary activitiesを除外

7|Component unitと給付制度では設置主体だけで決めない

年金制度や退職後給付制度が政府のcomponent unitである場合や、制度が政府の管理下にある場合は、Statement 97により修正されたStatement 84の個別基準に沿ってfiduciary activityかを検討します。制度を政府が設置したという一事だけでは十分ではありません。

Statement 97は、一定のdefined contribution pension・OPEB・その他のemployee benefit planと、IRC Section 457 deferred compensation planについて判定・報告基準を修正しています。試験では、制度の種類、法的独立性、資産の支配、受益者、政府が資源へアクセスできるかを分けて読み、名称だけで結論を出さないでください。

8|受託活動問題を解く6ステップ

最初にfund名を当てにいくと、政府自身のプログラム資源を誤ってfiduciaryへ分類しやすくなります。判定事実を固定してから表示先へ進みます。

  • ① 政府が資産を支配しているか
  • ② 年金・退職後給付またはcomponent unitの個別基準が関係するか
  • ③ 資源の最終受益者は誰か
  • ④ 政府自身のプログラムへ利用できるか
  • ⑤ 四つのfiduciary fundのどれに該当するか
  • ⑥ accrual・economic resources・government-wide除外を検算

公式情報・参考資料

制度や出題範囲は変更される場合があります。最終確認には以下の公式情報をご利用ください。

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