政府の建物・設備リースとクラウドサービス契約は、どちらも使用権と負債を認識するため似て見えます。しかし、対象資産が有形かITソフトウェアか、契約が支配を移しているか、導入支出がどの段階かを順に確認すれば、Statement 87と96を混同せずに処理できます。

この記事の要点
  • 契約名ではなく、特定資産を一定期間使用する権利の支配が移るかを確認する
  • リース借手は無形のright-to-use lease assetとlease liabilityを認識する
  • SBITA利用者はsubscription assetとsubscription liabilityを認識する
  • 12か月以下の短期判定では、行使可能性を問わず最大可能期間を使う
  • SBITAの導入支出は、予備・初期導入・運用の段階別に処理する
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1|製品名ではなく「支配される使用権」から判定する

最初に、契約が特定された資産を一定期間使用する権利の支配を政府へ移しているかを確認します。Statement 87のリースは非金融資産の使用権、Statement 96のSBITAは、ベンダーのITソフトウェア単体または有形資産と組み合わせたIT資産の使用権を対象にします。

クラウドという名称だけでSBITAにはなりません。政府が契約期間中に対象IT資産の利用方法を決定し、そのサービス能力を得る関係が必要です。単なるITサポートや、ベンダーが利用方法を実質的に支配するサービスは別の契約処理となり得ます。

2|借手・利用者の当初認識を左右に並べる

適格リースの借手は、一般にlease liabilityと無形のright-to-use lease assetを認識します。負債はリース期間にわたる一定の支払いの現在価値を基礎に測定し、資産は負債額に開始前支払や一定の直接コストなどを調整して測定します。

適格SBITAの政府利用者も、subscription liabilityと無形のright-to-use subscription assetを認識します。Statement 96はStatement 87の考え方を基礎にしているため、問題を解くときは、まず共通の使用権・負債モデルを置き、その後にSBITA固有の導入支出を追加します。

  • Lease:right-to-use lease asset+lease liability
  • SBITA:right-to-use subscription asset+subscription liability
  • 資産は無形、負債は将来の一定支払いの現在価値が中心
  • 支払いのすべてが自動的に負債測定へ入るわけではない

3|短期例外は「最も可能性が高い期間」では判定しない

Statement 87と96には短期契約の例外があります。開始時点の最大可能期間が12か月以下であれば、短期リースまたは短期SBITAとして、一般の使用権資産・負債モデルではなく契約条件に応じた流出を認識します。

ここで重要なのは、延長オプションを行使する可能性が低くても最大可能期間へ含めることです。例えば当初6か月に加えて任意の12か月延長があるなら、最大可能期間は18か月であり、短期定義を満たしません。通常の期間測定で使うreasonably certainの考え方と分けてください。

4|SBITA導入支出は三つの段階へ分ける

Statement 96は、サブスクリプション支払い以外の支出を、予備段階、初期導入段階、運用・追加導入段階に分けます。概念調査、代替案評価、最終選定前の検討など、予備段階の支出は通常、発生時に費用または支出として処理します。

設定、コーディング、テストなど、サービスを稼働可能にする初期導入段階の適格支出は、一般にsubscription assetへ加算します。稼働後の保守、トラブル対応、通常運用は原則として発生時処理です。追加機能がsubscription assetの機能性または効率を高める場合は、追加導入支出の資産計上を別途検討します。

  • Preliminary project stage:原則、発生時処理
  • Initial implementation stage:適格支出をsubscription assetへ加算
  • Operation and additional implementation stage:通常運用は発生時処理
  • 追加機能:機能性・効率向上があるかを個別判定

5|期末は負債・資産を別々に動かす

リース負債・サブスクリプション負債には利息を認識し、支払いのうち元本部分で負債を減額します。一方、right-to-use assetは通常、契約期間にわたりsystematic and rational mannerで償却します。負債の元本減少額と資産の償却額は同じとは限りません。

問題では、支払額の全額を当期費用とする選択肢、負債だけを減額する選択肢、利息と資産償却を混同する選択肢が並びます。まず負債表で利息・元本を分け、その後に資産償却を独立計算してください。

6|契約変更では再測定の根拠を確認する

契約期間や一定の支払いが変更され、再測定要件を満たす場合は、更新した事実と割引率を使って負債を再測定し、一般に対応する使用権資産を調整します。単に市場利率が変化しただけで毎期公正価値へ再測定するモデルではありません。

契約変更が独立した別契約なのか、既存契約の条件変更なのかも確認します。SBITAで追加機能が導入された場合は、契約負債の再測定と導入支出の資産計上を一つの判断に混ぜず、契約変更と支出段階を別々に判定します。

7|貸手側と注記では表示の対応関係を使う

Statement 87の政府貸手は、一般にlease receivableとdeferred inflow of resourcesを開始時に認識し、原資産は引き続き報告します。借手のasset・liabilityと、貸手のreceivable・deferred inflowを左右に並べると、選択肢の主語を取り違えにくくなります。

リースとSBITAでは、契約の一般的説明、認識額、将来の元本支払などの重要情報を注記します。Statement 104の適用時期を含む最新の表示・注記要件は改訂される可能性があるため、受験年度のBlueprintとGASBの現行Pronouncementsで確認してください。

8|BAR問題を解く7ステップ

Statement番号から仕訳を思い出す前に、契約の対象と立場を固定します。次の順序を使えば、リース・SBITA・単純サービス契約が同じ設問に出ても処理を分けられます。

  • ① 契約の主語は借手・貸手・政府IT利用者のどれか
  • ② 対象は有形資産、ITソフトウェア、それとも単純サービスか
  • ③ 特定資産の使用方法とサービス能力を政府が支配するか
  • ④ 最大可能期間12か月以下の短期例外か
  • ⑤ 当初の使用権資産・負債・債権・繰延流入を特定する
  • ⑥ SBITA導入支出はどの段階か
  • ⑦ 利息・元本・資産償却・再測定を独立して検算する

公式情報・参考資料

制度や出題範囲は変更される場合があります。最終確認には以下の公式情報をご利用ください。

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