外貨会計で最初に決めるのは為替レートではなく、どの通貨からどの通貨へ数値を直すかです。取引通貨、帳簿通貨、機能通貨、報告通貨を区別すると、current rateとhistorical rate、純利益とOCIの使い分けを一つの流れで判断できます。
- transaction・remeasurement・translationを別の処理として判定する
- 機能通貨を企業が主に現金を生み支出する経済環境から判断する
- 再測定は測定基礎、換算は財務諸表全体の表示通貨に着目する
- exchange gain/lossとcumulative translation adjustmentの表示先を区別する
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1|最初に通貨の地図を描く
取引通貨は個別取引の表示通貨、帳簿通貨は記録に使う通貨、機能通貨は企業が主に現金を生み支出する経済環境の通貨、報告通貨は連結財務諸表を表示する通貨です。
帳簿通貨と機能通貨が異なればremeasurement、機能通貨と報告通貨が異なればtranslationが必要です。問題文を読んだら矢印で「帳簿→機能→報告」と書き、どの矢印が問われているかを固定します。
2|外貨建取引は取引日・報告日・決済日の3時点で追う
外貨建売掛金や買掛金は取引日にその日のレートで認識し、未決済なら各報告日にcurrent rateで再測定します。決済日には受払額との差を最終的に認識します。
貨幣性債権・債務のexchange gain or lossは通常、純利益へ含まれます。売上や仕入れの当初金額を毎回書き換えるのではなく、債権・債務の帳簿価額変動を別の為替差損益として追います。
3|Remeasurementは機能通貨の測定基礎を再現する
帳簿通貨が機能通貨と異なる場合、財務諸表項目を機能通貨へ再測定します。現金、債権、債務などの貨幣性項目は通常current rateを使います。
取得原価で測定する棚卸資産や固定資産などの非貨幣性項目は、その原価が発生したhistorical rateを使います。関連する売上原価や減価償却費も、基礎となる資産のレートと整合させます。再測定差額は通常、純利益へ反映されます。
- Monetary item:current rate
- Historical-cost nonmonetary item:historical rate
- Related expense:基礎資産と整合するrate
- Remeasurement gain/loss:通常はnet income
4|Translationは機能通貨財務諸表を報告通貨へ表示する
機能通貨で適切に測定された財務諸表を報告通貨へ換算するときは、資産・負債に通常current rate、資本項目にhistorical rate、収益・費用に取引日のレートまたは合理的なaverage rateを用います。
換算後に貸借が一致するための差額がcumulative translation adjustmentです。このtranslation adjustmentは通常、当期純利益ではなくOCIへ報告され、AOCIに累積されます。
5|機能通貨の判断は経済的事実から行う
機能通貨は法人所在地や親会社の希望だけで決まりません。販売価格、主要市場、労務・材料費、資金調達、営業活動からの現金保有など、企業が主に活動する経済環境を総合して判断します。
在外事業体が親会社から自律して現地で収入と支出を行う場合と、親会社の延長として活動する場合では、適切な機能通貨が異なり得ます。結論の前に、どの通貨が事業の経済的結果を最も忠実に表すかを確認します。
6|ヘッジと処分ではCTAの扱いまで追う
純投資ヘッジの有効部分は、ヘッジ対象となる在外事業体のtranslation adjustmentと対応させ、通常CTAの一部としてOCIへ報告します。外貨建取引の通常の為替差損益と混同しないでください。
在外事業体の売却などでは、累積していたCTAをいつ・どの範囲で損益へ反映するかが論点になります。問題文が単なる持分低下か、支配喪失や完全・実質的清算を伴う処分かを確認します。
7|外貨問題を解く6ステップ
為替レート表へ飛び付かず、処理の種類と表示先を決めてから計算します。レートの暗記より、何の測定基礎を維持しているかを説明できることが重要です。
- ① 取引主体と問われる財務諸表を確認
- ② 取引・再測定・換算のどれかを判定
- ③ 帳簿通貨・機能通貨・報告通貨を特定
- ④ monetary・nonmonetaryと測定基礎を確認
- ⑤ current・historical・average rateを選択
- ⑥ net income・OCI・CTAの表示先を検算
公式情報・参考資料
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