TCPの企業取引問題は、買収価格だけでなく「何を取得したか」「誰が当期損益を認識するか」「資産basisと税務属性がどう動くか」を追う科目です。株式取得、資産取得、子会社清算、非課税組織再編では、同じ事業支配の獲得でも税務結果が大きく異なります。2026年BlueprintとIRS資料を基準に、比較の順序を一本化します。
- 株式取得と資産取得を、当事者・basis・属性・申告で比較する
- 資産取得では購入価格を資産クラスへ配分してから税務効果を計算する
- 取得のれん等のSection 197無形資産は通常15年償却する
- 子会社清算ではSection 332の非認識と引継basisをセットで追う
- NOLはSection 382、非課税再編は継続性要件を別々に確認する
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1|最初に法的形式と税務上の取得対象を固定する
企業買収問題では、買主が対象会社の株式を取得したのか、対象会社または売主から事業資産を取得したのかを最初に確認します。株式取得なら対象法人は通常そのまま存続し、法人の資産basisも原則として直接変化しません。資産取得なら買主が個別資産を取得し、支払対価の配分が買主basisと売主損益の起点になります。
次に、売主が法人か株主か、対象会社がC法人・S法人・パートナーシップのどれか、選択規定があるかを確認します。法的形式だけで結論を出さず、税務上みなし資産取得となる選択や一連取引の扱いにも注意します。
- 取得対象:株式か個別資産か
- 売主:対象法人か株主か
- 当期課税:誰がgain・lossを認識するか
- 取得後:inside basis、株式basis、NOL等の属性はどうなるか
- 報告:Form 8594、組織再編明細、basis記録が必要か
2|株式取得と資産取得を4軸で比較する
通常の株式取得では、買主は取得株式に購入basisを持ちますが、対象法人の資産basisは原則として従前のままです。対象法人の契約、許認可、潜在債務、税務属性も法人内に残るため、税務デューデリジェンスが重要になります。
課税資産取得では、買主は取得資産ごとに配分された購入basisを持ち、減価償却・償却の再スタートが期待できます。一方、売主側では資産ごとにordinary、Section 1231、capitalなどのcharacterを判定し、法人から株主への対価移転で追加の課税が生じる可能性もあります。
試験では、買主のbasisだけで「有利」と判断しません。売主課税、潜在債務、属性利用、取引コスト、将来売却までを同じ表で比較します。
- 買主basis:株式basisか資産basisか
- 売主課税:株主レベルか法人・株主の複数レベルか
- 税務属性:対象法人に残るか、制限されるか
- 将来控除:減価償却・Section 197償却がどう変わるか
3|資産取得はForm 8594と残余法から始める
事業を構成する資産群の課税取得で、のれんまたは継続企業価値が付着し得る場合、買主と売主は通常Form 8594を用いて対価配分を報告します。配分は買主の各資産basisと、売主の資産別amount realizedに同時に影響します。
残余法では、現金等から始まる所定の資産クラス順に、原則として公正価値を上限として対価を配分します。先行クラスへの配分後の残額が、のれん・継続企業価値へ到達します。契約書の配分がある場合も、両当事者の報告整合性と経済的合理性を確認します。
対価が後年に増減するアーンアウト等では、追加配分と補足Form 8594が必要となる場合があります。取得日だけでなく、条件付対価の確定後まで記録を維持します。
4|Section 197無形資産は取得方法と償却期間を確認する
取得のれん、継続企業価値、顧客基盤、商標、事業取得に伴う競業避止契約などは、要件を満たすSection 197無形資産として通常15年(180か月)で償却します。開始月は一般に取得月または事業開始月のいずれか遅い月です。
会計上の減損テストや見積耐用年数と、税務上のSection 197償却を混同しません。また、自己創設のれんと課税資産取得で購入したのれんでは、税務basisの有無が異なります。
複数のSection 197無形資産の一部だけを処分した場合には、残存basisの損失認識に制限が生じることがあります。TCPでは取得時の償却だけでなく、出口のcharacter・recaptureまで視野に入れます。
5|子会社清算とNOL制限を別々に追う
適格な親子会社間完全清算では、Section 332により親会社は通常、子会社財産の受領について損益を認識せず、関連するbasisルールにより分配資産の調整後basisを引き継ぎます。公正価値へ自動的にステップアップするわけではないため、含み損益は将来へ持ち越されます。
買収後のNOL利用は別論点です。欠損法人にSection 382上の所有権変更が生じると、変更前NOL等で相殺できる変更後課税所得に通常、年間制限がかかります。NOLが即時に消滅するというより、利用速度が制限されるのが基本です。
取引案を比較するときは、資産basisのステップアップとNOL価値を二重計上しないようにします。Section 338等のみなし資産取得選択、Section 382、Section 384、連結申告規則などが同時に関係する場合は、問題文の適用範囲を限定して一つずつ判定します。
- Section 332:親会社の受領損益
- 関連basisルール:資産basisを引き継ぐか
- Section 382:変更前損失の変更後利用制限
- 組織再編・連結申告:他の属性移転ルール
6|非課税組織再編は「形」と「継続性」を確認する
Section 368の組織再編では、法定類型を満たすだけでなく、取引全体の目的・計画と、適用される継続性要件を確認します。Continuity of interestは対象会社株主が取得側の持分を継続保有する関係を、continuity of business enterpriseは取得グループが対象会社の従来事業を継続するか、従来事業資産の重要部分を使用することを中心に検討します。
すべての組織再編類型で全く同じ要件が適用されるわけではありません。問題文がA、B、C、D、E、F、Gのどの類型を意図しているか、現金等のboot、負債、取引後の資産移転、計画の一体性を確認します。
最後に、非認識は永久免税ではなくbasisや属性の引継ぎを通じた繰延べであることを確認します。株主basis、法人の資産basis、認識されたboot gain、E&P、NOL等を別々の行で管理すると、同じgainを二度認識したり、繰延べを永久除外と誤認したりするのを防げます。
- 法定再編類型と取引当事者
- business purposeとplan of reorganization
- continuity of interest
- continuity of business enterprise
- boot・負債・basis・属性の引継ぎ
- 取引後の移転を含むstep transactionの検討
公式情報・参考資料
制度や出題範囲は変更される場合があります。最終確認には以下の公式情報をご利用ください。
- AICPA & CIMA|2026 CPA Exam Blueprints↗
- IRS|Instructions for Form 8594, Asset Acquisition Statement↗
- IRS|Instructions for Form 4562 (2025), Section 197 Intangibles↗
- IRS|Internal Revenue Bulletin 2013-44, Sections 332 and 337↗
- Office of the Law Revision Counsel|26 U.S.C. Section 382↗
- IRS|Internal Revenue Bulletin 2007-47, Corporate Reorganizations↗
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